第25章 期末テストは個人戦!?
……扉を開ける手を途中でやめる。
「……私の事は、これからも調べて構いませんが……テスト前は理事長も忙しそうですし、今後はテスト前、控えてくださいね。あと…話せなくて、ごめんなさい」
一応理事長も人だし。調べられても多分、分からないと思うし。
私は今度こそ、と重い扉を開いた。
△
……そして忘れてた。
A組の前通んないとじゃん……っていうか私無事に玄関まで辿り着けるのか? 迷子になったりして……
そーっと廊下を伺うと当たり前だけど放課後だからチラホラと人がいる。いっぱいいる訳じゃないけど。
…やむ無し。行くしかねぇ!!
私は廊下の角を曲がって颯爽と歩いた。何も見ない、視線なんて感じない、とにかく歩く!!!
……しかし私の足はA組の前で不自然に止まった。
腕を……誰かに掴まれてる?
少しビビったけど勢いで振り返る。
「……え? えええ……?」
そこにいたのは。
「あ、浅野君……?」
初めましての浅野君だった。
腕をギリ、と掴まれる。
「いてぇよアホー!!」
……最近私の口悪くなった気がする……
でも痛いもんね、仕方ないよね!!
「君にアホ呼ばわりされる筋合いはない。君は誰だ」
お前は私が誰かも知らないのに腕をひねり上げたのか!!
「それに答えさせてもらう前に私の手を離してくれるかな、浅野君」
「……君は何故僕の名前を知ってるんだ」
「有名だからだよ、質問に質問重ねないでってば」
浅野君は不本意そうに手を離した。荒々しいわ!!
「……3年E組、東尾京香」
「……E組か。なんでE組の君が浅野理事長に手を握られて理事長室に連れて行かされたんだ」
「……え?」
なんでって言われてもな……
なかなか口を開かない私に痺れを切らしたらしく、浅野君は単刀直入に聞いてきた。
「君は僕の父親の愛人か?」
……はあ!!?
あまりに突飛なことを言われて唖然。
「……あんなに慌ててるのを久しぶりに見たんだ。君もコソコソしてるし。愛人は流石に言いすぎたが何かやましい事でもしているのかと思った」
……観察眼もあるし、頭良いな。
「浅野君、私の事を知らなかったのは私が転校生だからだよね。こっちに来てからたいして時間もたってないのにあんな怖そうな人とやましい事なんて出来ないっしょ」
「……フム」
一応納得したようだ。