第25章 期末テストは個人戦!?
「おや、E組の皆さんじゃないか!」
本棚の陰からこっそりとみんなの机を見守る。なるほど、A組の中の…えーと、「五英傑」の中の4人か。浅野君だけいないんだ。
「もったいない、君達にこの図書室は豚に真珠じゃないのかな?」
……無駄にキラキラしたオーラを放って。
「どけよザコ共。そこ俺等の席だからとっとと帰れ」
「なっ、何をぅ!? 参考書読んでんだから邪魔しないで!!」
「茅野、読んでる本見えてるよ」
どうやら茅野ちゃんは現代文の参考書の中にプリンの本を隠していたらしい。…本当にプリン好きだな。
「ここは俺達がちゃんと予約取った席だぞ」
「そーそー、クーラーの中で勉強するなんて久々でチョー天国〜」
どちらが磯貝くんの言葉でどちらが莉桜の言葉かはまあ分かりやすい。
「君達は本当に記憶力無いなぁ、この学校じゃE組はA組に逆らえないの! 成績が悪いんだから」
ギシャシャと笑うA組のカルマ君恨み野郎(私命名)に、愛美ちゃんは果敢に立ち向かった。
「さっ…逆らえます!!」
「何…?」
「私達次のテストで全科目1位取るの狙ってるんです!! そしたら大きな顔させませんから!!」
ああああ愛美ちゃん健気!!!! 素晴らしい!!!
「口答えすんな、生意気な女だ。おまけにメガネのせいでイモ臭い。ギシシシなぁ荒木」
「おっ…おう小山」
荒木も小山もメガネの人だから説得力皆無。おまけに2人ともイモ臭い(私が言えることではない)。
一方神崎さんは神崎さんで大変な目に。
「腐すばかりでは見逃すよ小山。御覧、どんな掃き溜めにも鶴がいる」
「!!」
女たらし榊原蓮に絡まれていた。
「もったいない…学力があれば僕に釣り合う容姿なのに。君うちに小間使いとして奉公に来ない?」
「い、いえ、あの…」
じゃかしいわ!! 神崎さんには杉野がおるんじゃあ!!!
「……神崎さんってさ」
「…うん、とことん男運無いよね」
渚君の茅野ちゃんがそんなことを話していると榊原蓮のセリフに触発されたのか、小山が何かに気がついたように話し出した。
「…いや待てよ…記憶を辿れば確かに…一概に学力無しとは言いきれないな。
神崎有希子、中間テスト国語23位。磯貝悠馬、社会14位。中村莉桜、英語11位。奥田愛美、理科17位。1教科だけなら…一応勝負できそうなのが揃っている」
覚えすぎだろ小山! 気持ち悪っ!