第25章 期末テストは個人戦!?
「珍しく気合入ってんじゃん奥田さん」
殺せんせーの宣言を聞いて、私達は校舎へ帰ってきた。神崎さんの横にそっとつき、話をこっそり盗み聞き。
……っていうかカルマ君失礼だなおい!! …と思ったが愛美ちゃんは気にせず
「はい! 理科だけなら私の大の得意ですから! やっと皆の役に立てるかも!」
と嬉しそうに話す。
「そうだね。1教科限定なら上位ランカーは結構いるから…皆もかなり本気でトップを狙ってるね」
そう話したのは茅野ちゃんだ。
「あと心配なのは…理事長の妨害かな」
それぞれ思い出すのは中間テストの光景だろう。途中でペンを持つ手が止まり、点数は予想より良くなかった、二か月前の景色。
「……それはあまり無いと思うよ」
私は心からそう言った。……殆ど思わず、だけど。
「え? 何で?」
「何で、って言うと……」
この先を知ってるから、としか言えないんだけど……
「……理事長は頭がいいからね。前回と同じ手は使わないんじゃないかな……」
「ああ、そっかー」
「確かにそうですよね!」
あまりない脳みそを必死に回転させ言葉を絞り出したが、どうやら上手くいったみたいだ。
「皆、放課後は教室で勉強会みたいよ、行きましょうか」
神崎さんの声に
「よーし、頑張るぞー!」
「茅野ちゃん元気だね……」
「はい、行きましょう!」
「俺はエンリョしとこっかなー」
「僕は行くよ、杉野も行くみたいだし」
……まあカッコよく揃うみたいなことは無く、それぞれの回答が帰ってくる。
とりあえず教室へ。……と思ったけど。
私は違う方へと歩くカルマ君の方を見た。
バチッと視線が合う。
……気まずいなおい!
私は愛想笑いをしてくるりと踵を返した。
……後で痛い目にあうぞ、赤髪野郎!!
と、心の中で悪態をつきながら。