第25章 期末テストは個人戦!?
「前にシロさんが言った通り、先生は触手を失うと動きが落ちます」
殺せんせーは唐突に自分の触手を銃でぶち抜いた。
「1本減っても影響は出ます」
触手の切れ際が溶ける音が耳に届く。
「ごらんなさい、全ての分身が維持しきれず、子供の分身が混ざってしまった」
7体程目に見えるが、そのうち3体が子供の大きさになっている。……ちょっと可愛い。撫でてみたいけど速すぎて目が追いつくのもギリギリ。
「さらに1本減らすと」
また1本触手をぶち抜く。どうやらあえて触手を復活させていないらしい。
「ごらんなさい、子供分身がさらに増え…親分身が家計のやりくりに苦しんでます」
「なんか切ない話になってきたぞ」
っていうかどこからちゃぶ台出してきたんだろう……。
「もう1本減らすと、父親分身が蒸発しました。母親分身は女手ひとつで子を養わなくてはいけません」
「重いわ!!」
母親分身が夜の街へと消えてゆくのが見える。……この景色もどうやって見せてるんだろう……?
「色々と試してみた結果、触手1本につき先生が失う運動能力は…ざっと20%!」
ぶち抜いた触手の切れ目は黒々と燃えて、溶けている。
「…そこでテストについて本題です。
前回は総合点で評価しましたが…今回は皆さんの最も得意な教科も評価に入れます。
教科ごとに学年1位を取った者には、触手を1本破壊する権利をあげましょう」
皆に激震が走る。
「チャンスの大きさがわかりましたね。総合と5教科全てでそれぞれ誰かがトップを取れば、6本もの触手を破壊できます」
1本辺り二十%の力を失うのに…6本か……。
「これが、暗殺教室のテストです。
賞金百億円に近付けるかどうかは…皆さんの成績次第なのです」
皆の目が輝き…あるいはメラメラと燃える。
一教科だけなら行ける、むしろ余裕の人も多いんじゃないかな。
まあ私が1位取ったらダメなんだけどね!!
でも絶対取れない自信があるからね!!
……こんな事言ったら殺せんせーに怒られちゃうね。
でも、私にとって自分の成績よりこの世界をなるべく変えない事の方が大事なんだ……。
私は皆の様子を見てそう思った。