第25章 期末テストは個人戦!?
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椚ヶ丘中学校では成績が大重視される。
E組を誰に恥じる事も無いクラスにする、そう目論んでいる百億円の賞金首……殺せんせーにとって、この期末は、決戦の場!
……みたいな煽り文句だったはず。
私は目の前でマッハで動く黄色い物体を見ながら回想していた。
今日は何故か外での授業。草むらに座り込んで教科書を覗き込む。
「ヌルフフフ、皆さん1学期の間に基礎がガッチリ出来てきました。この分なら期末の成績はジャンプアップが期待できます」
総勢何体だ……50体は超えているであろう殺せんせーが、各々に声をかける。理科やら国語やら英語やら……勿論私には国語の殺せんせー。
「東尾さんは個人レッスンもしましたからねえ、まあ帰ってくるのが遅くて大変でしたが」
「それは殺せんせーを殺すためだから許してよ。烏間先生とか皆と訓練してるんだから」
ヌルフフフ、じゃあ許しますかね、と笑う殺せんせーに、私は少し困った笑顔で答えた。
「殺せんせー、また今回も全員50位以内を目標にするの?」
渚君が木に寄りかかりながら聞く。
「いいえ、先生あの時は総合点ばかり気にしていました。生徒それぞれに合うような目標を立てるべきです」
…まあ、殺せんせーはまだ来たばかりの時だったし……皆のこと上手くわからなくても仕方ない。
「そこで今回は…この暗殺教室にピッタリの目標を設定しました!」
殺せんせーが「LUCKYCHANCE」と書かれた紙(札?)を歯につけ言う。すると、殺せんせーの数が少し減り、だいぶ見やすくなった。皆が札をつけた殺せんせーの方を見る。
……まるで、「どういう事だろう?」「…でも、殺せんせーの事だからきっとうまくやるんだろうな」という視線。
そして何故かNARUTOの殺せんせーは寺坂を必死に慰めている……。
「だ、大丈夫!! 寺坂君にもチャンスがある目標ですから!!」
寺坂は肩を揉まれ迷惑そうにしてるけど……。
「さて」
まるで名探偵がみんなを見て事件のあらましを説明するように、殺せんせーは最初の言葉を口にした。