第23章 裏切りは静かに火を燃やす
……次の日。
私は迷いながらも校舎に入った。
……今日は、プールが決壊する日、だ。
私は泳ぎがとても得意なわけではない。
24人なら助けられた先生も、25人なら助けられないかもしれない……。
今日の先生の様子を見て決めようと思って、結局私は学校へ。
「おはようございます、殺せんせー」
「はいおはようございます」
……ってあれ、まだ変じゃない…。
この後殺せんせーは粘液をめっちゃ出すはずなんだけど……あれって昼間の時間だったっけ。それまで待ってみよう。
その後4時間の授業を終え、お弁当の時間になると、殺せんせーはぐすぐすと泣き出した。
「なによ、さっきから意味も無く涙流して」
イリーナ先生が箸を上手に使ってご飯を食べる。その合間に聞いた質問。
「いいえ、鼻なので涙じゃなくて鼻水です。目はこっち」
「まぎらわしい!!」
どうやら殺せんせーは目と鼻が近くにあるらしく、鼻の穴は微粒子レベルで小さいため上手く見えない……っていうのが理由らしい。
「どうも昨日から体の調子が少し変です。夏カゼですかねぇ…」
その時、寺坂が入ってきた。午前中はサボっていたらしい。
「おお寺坂君!! 今日は登校しないのかと心配でした!!」
寺坂の肩を掴みブチョブチョと粘液を撒き散らす殺せんせー……ちょっと汚いよ、先生。
流石の寺坂も目をひんむいて驚いている。
「昨日君がキレた事ならご心配なく!! もう皆気にしてませんよね? ね?」
「…う、うん…汁まみれになっていく寺坂の顔の方が気になる」
「昨日1日が考えましたが、やはり本人と話すべきです。悩みがあるなら後で聞かせてもらえませんか?」
殺せんせーの言葉を聞いて寺坂は静かに目を開いた。
そして先生のネクタイで顔を拭く。
「おいタコ。そろそろ本気でブッ殺してやンよ。
放課後プールへ来い。弱点なんだってな、水が」
お弁当中の皆の方にも呼びかける。
「てめーらも全員手伝え!! 俺がこいつを水ン中に叩き落としてやッからよ!!」
しかし皆は静かに目を合わせ、黙った。
代表で前原くんが言う。
「…寺坂、おまえずっと皆の暗殺には協力して来なかったよな。
それをいきなりおまえの都合で命令されて…皆が皆ハイやりますって言うと思うか?」
……うん、私も先の展開知らなかったらブチ切れてるかも……