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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第22章 水に溺れる夏




パシャン。
水音が静かに響いた。水面には綺麗な三日月がゆらゆらとその光を放っている。

ガバッと心菜が起きるのが横目で見えた。
私は木の後ろで、万が一見つかった時用に魚風の服を着ている。
この服の細かい調整と着付けをしたのは私だ。

そして私が着付けた3人のうち2人は、先ほどの水音の主だ。
笑い声が響く中、水かけをして遊んでいるのは渚君と茅野ちゃん。

「…どこここ…?」

心菜は唖然としたあと納得の口調で
「…ああ、夢か…」
と夢見心地に言った。

確かに幻想的で明らかに人じゃない奴もいて、こんなん見たら現実とは思えない。

「目覚めたみたいだね」

そんな心菜に話しかける人…魚が1匹。

「えーと、こ、ここは魚の国!! さぁ私達と一緒に泳ごうよ!」

そう話しかけたのはイケメグだ。

「…あんためぐめぐに似てない?」
「…違うし。めぐめぐとか知らないし」

恥ずかしそうだ…かなり小声になっている。

「…魚魚だし」
「何その居酒屋みたいな名前!?」

そんなイケメグに殺せんせーがそっとアドバイスをしにいった。小声過ぎて聞こえないけど。

「僕の名前は魚太」
「私の名前は魚子だよ」
「魚子は魚なのに浮き輪なの!?」

渚君と茅野ちゃんの発言もテンポよくすすみ、ツッコミも上々。

「そして私が魚キング。川を海を自在に跳ねる水世界最強のタコです」
「タコかよ!!」

こいつ悪い奴かと思ってたけどこの性格のままならウケいいんじゃないかな……

「素晴らしい連続ツッコミ。良い準備運動になってますね」

殺せんせー基魚キング……タコキングかな? は、心菜のゴムをキュッと直すとマッハで動き始めた。

「入念なストレッチ、早着替え」
「ん゛ふぅ!!」

パチィンと水着のゴムが肌に戻り、ゴムの原理で痛そう。

「そして入水!!」
「ぎゃあ!!」

躊躇なく突き落とすタコキング……。

「みっ、水ゥ!?」
心菜は死にそうな顔だ。

「落ち着いて心菜! そこ浅いから」
イケメグはイケメンらしくすぐに駆けつけた。

「泳げるようになりたいでしょ? 少しだけ頑張ってみよ!!」
「いっ、今更いいわよ泳げなくて!! それを逆手に愛されキャラで行く事にしたし!! 泳げないって言っとけば…アンタに似てる友達が私の言う事何でも聞くし!!」

イケメグは複雑そうな顔をしている。
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