第22章 水に溺れる夏
「見捨てないでくれよぉ…俺、おまえがいてくれないと何にもできない奴なんだよ…」
妻にギュウ、と抱きつく夫。
「……もうっ、ほんとダメな人なんだから…♡」
妻は夫に優しく微笑みかけた……。
夫役・殺せんせー 妻役・片岡メグ 紙芝居作成・殺せんせー
▽
結構えぐい紙芝居だなこれ!!
「いわゆる共依存というやつです。あなた自身も依存される事に依存してしまうのです」
依存に依存。自分がいる意味を求めて、悪循環に陥ってるんだ……。
「片岡さん、あなたの面倒見や責任感は本当に素晴らしい。
ですが、時には相手の自立心を育てる事も必要です。
『こいつならどんなにしがみついても沈まない』。そう思うと人は自力で泳ぐ事をやめてしまう。それは彼女のためにもなりません」
殺せんせーの言葉を真摯に受け止め俯くイケメグ。
「……どうすればいいのかな、殺せんせー」
すると答えが一瞬で返ってきた。
「決まっています、彼女が自力で泳げるようにすればいい」
イケメグはポカン。
「1人で背負わず先生に任せなさい。このタコが魚も真っ青のマッハスイミングを教えてあげます」
水着に瞬間着替え。
渚君も隣でポカン。
「泳げるのかな……?」
茅野ちゃんがこちらに聞いてきた。
「……この先分かるはずだよ」
私はにっこり笑った。
「さあ渚君、茅野さん、東尾さん。リハーサルを今日から行いますよ! 片岡さんは練習を!! 私は監督をやりますので、皆さん頑張りましょう!!」
……え、私も!?
慌てた様子の私に、殺せんせーは気づいたらしい。
「? やらないんですか、東尾さん」
殺せんせーの威圧感に負けて、私は乾いた笑いで答えた。