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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第22章 水に溺れる夏




あの後、水着からいつもの制服に着替えた私達は放課後イケメグに呼び出された。

校舎から歩いていく途中にたまたま隣になったのは前原くんだ。

……そういえば。

「前原くんってこのクラスの女子イケメグ以外口説いたんだよね?」

「ん? おお」

確かイケメグだけ口説かなかったのは『親友への義理』……つまり磯貝くんへ気遣ったから、らしいんだけど。

「何で私は口説かなかったの?」

ふと思った質問をそのままぶつけると前原くんはブホッと空気を吐き出した。

「おま、何でって……そりゃ、最初気まずかったから、だな。最初お前の事殺し屋だと思ってたし」

「あぁ、そういう事か。だって私だけ口説かれないって変なのーって思ってたの」

「へぇ……」

……ん? 何か前原くんの声がいつもより低いような。


「口説いて欲しかったの?」


私の思考は1度停止した。


……チャラ男モードか、そうか。

冷静に判断した私は、前原くんに向かっていった。


「生憎、チャラ男は興味ないんだ! バーカ!!」

「バッ……」

前原くんの慌てた声が聞こえる。

「俺はバカじゃねーぞ!!」

「細かいこと気にすんなってば!!」

こういう小さい日常。マンガに出てこなかった、些細な出来事も、きっと楽しい思い出になるんだろう。

イケメグに集合をかけられた場所に到着すると、もう大体の人が揃っていた。
蚊取り線香の匂いがふわりと漂う。

「まず問題は、殺せんせーが本当に泳げないのか」

問題提起がスタートする。

「湿気が多いとふやけるのは前に見たよね」
「さっきも…倉橋が水をかけたとこだけふやけてた」

皆がゆっくりと今までの事を思い出していく。

「もし仮に全身が水でふやけたら…死ぬまではいかなくとも極端に動きが悪くなる可能性はかなり高い」

なるほど……改めて聞くと状況理解がはやいな、皆。

「だからね皆。私の考える計画はこう。
この夏の間、どこかのタイミングで殺せんせーを水中に引き込む。『それ』自体は殺す行為じゃないから…ナイフや銃よりは先生の防御反応も遅れるはず」

…人間は、殺される気配…殺意に敏感だから。

「そして、ふやけて動きが悪くなった所を…水中で待ち構えてた生徒がグサリ!」

実際どれだけ動きが悪くなるのかは想像がつかない。
それでも皆は希望を掛けているのだろう。

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