第21章 鷹岡襲来の巻
「黙っ…て聞いてりゃ、ガキの分際で…大人になんて口を…」
さっきよりも憤怒の表情で今にも殴りかからんばかり。
流石に渚君も後ずさり、鷹岡が殴ろうとした時。
烏間先生がスッと現れ、鷹岡の顎に後ろ肘を突き出した。
ゴッと鈍い音がして、鷹岡の頭が地面に落ちる。
「……俺の身内が…迷惑かけてすまなかった」
防衛省の人は同僚とか会社の人の事を身内っていうのかな?
とにかく後ろでピクピクしている鷹岡を指していることは間違いない。
「後の事は心配するな。俺1人で君達の教官を務められるよう上と交渉する。いざとなれば銃で脅してでも許可をもらうさ」
「烏間先生!!」
嬉しそうな周りに対してようやく背中をあげた鷹岡は
「くっ…やらせるかそんな事。俺が先にかけあって…」
と無念げに烏間先生を睨む。
しかしそこに、あの『長』が現れた。
「交渉の必要はありません」
……理事長!
「!! 理事長…!?」
流石の殺せんせーも焦っている。
「………ご用は?」
「経営者として様子を見に来てみました。新任の先生の手腕に興味があったのでね」
鷹岡の所に近づき、座り込む。
「でもね鷹岡先生。あなたの授業はつまらなかった。
教育に恐怖は必要です。一流の教育者は恐怖を巧みに使いこなす。
が、暴力でしか恐怖を与える事ができないなら…その教師は三流以下だ」
……教育に恐怖が必要って言い切る理事長にも恐怖を感じるよ……。
「自分より強い暴力に負けた時点で、『それ』の授業は説得力を完全に失う」
サラサラと書き出したものを鷹岡の空きっぱなしの口にクシャッとねじ込んだ。
「解雇通知です。以後あなたはここで教える事は出来ない。
ここの教師の任命権はあなたがたには無い。全て私の支配下だという事をお忘れなく」
そう言って理事長は背を向ける。
鷹岡は無我夢中で無言で逃げ出した。
「鷹岡クビ…」
「ってことは今まで通り烏間先生が」
その事に気づいたE組の皆は数秒後、
「よっしゃあ!!!!」
と拳を突き上げた。
「理事長もたまには良い事するじゃんよ」
「う…うん、あっちの方がよっぽど恐いけどね」
渚君の意見に全く同意だ……。