第21章 鷹岡襲来の巻
「さぁ、まずはスクワット100回かける3セットだ」
パンパンと手を叩く鷹岡。
皆は腰を引いた。
「抜けたい奴は抜けてもいいぞ。その時は俺の権限で新しい生徒を補充する。俺が手塩にかけて育てた屈強な兵士は何人もいる。1人や2人入れ替わってもあのタコは逃げ出すまい」
……さっきの前原くんにやったように、この言葉も本気なのだろう。
…人は、物じゃない。補充なんか……出来やしない。
「けどな、俺はそういう事したくないんだ。おまえら大事な家族なんだから。父親としてひとりでも欠けて欲しくない!」
皆の後ろや前を歩く。……脅迫、だ。
「家族みんなで地球の危機を救おうぜ!! なっ?」
ガシッと三村くんと神崎さんを抱え込む。
……汚い手で触んな!!
『あの技』は……本当はあまり使っちゃいけない、気がするけど。
鷹岡の回だけは、どうしても見てられない!
「な? おまえは父ちゃんについてきてくれるよな?」
そう言われた神崎さんの足はガクガクと震えている。
「…は、はい。あの…私……」
そして鷹岡に向かって真っ直ぐ言った。
「私は嫌です。烏間先生の授業を希望します」
……本当は、変えちゃいけないなんて、分かってるんだ。
だけど。
私はその言葉を聞いて神崎さんの元へ駆け出した。
バチッと鈍い音が響く。
私は遠くへ……見守っていた皆の方へ飛んだ。
「京香さん!!」
神崎さんも近付いてくる。
一方鷹岡はハテナ顔だ。
「いった……うっ、うっ……あ、あ……」
私は地面に顔を押し付けて呻いた。
その様子を見ていたらしい。鷹岡の嬉しそうな声が聞こえる。
「…おまえらまだわかってないようだな。『はい』以外は無いんだよ。
文句があるなら拳と拳で語り合おうか? そっちの方が父ちゃんは得意だぞ!!」
……『あの技』、成功かな。
私は呻きながらニヤリと笑った。