第19章 球技大会は女のバトル。
「進藤、ゴメンな、ハチャメチャな野球やっちまって」
女子もとことこと近付いて男子を褒めたり片付け手伝ったり。
私はそれとなく杉野くんの話を聞いていた。
「でもわかってるよ。野球選手としておまえは俺より全然強ぇ。これでおまえに勝ったなんて思ってねーよ」
杉野くんは困り顔で言った。
「……だったら…なんでここまでして勝ちに来た。結果を出して俺より強いと言いたかったんじゃないのか」
「……んー…」
困り顔続行杉野くん。
「渚は、俺の変化球練習にいつも付き合ってくれたし。カルマや磯貝の反射神経とか、皆のバントの上達ぶりとかすごかっただろ」
グローブやボールを回収しながらみんなは笑い合う。
「でも、結果出さなきゃ上手くそれが伝わらない。
…まぁ、要はさ。
ちょっと自慢したかったんだ。昔の仲間に、今の俺の仲間の事」
照れくさそうに笑う杉野くんに、皆は微笑んだ。
目の前にいる進藤君も、そんな杉野くんに笑った。
「覚えとけよ杉野。次やる時は高校だ」
「おうよ!」
足元でうんうんと頷く殺せんせーは、地面にヒュッと潜り込んだ。
地面に向かって私は小声で言う。
「殺せんせー、あとでE組にきてね」
触手が一瞬シュッと出て、また潜った。
……OKってことかな?
少しだけ…ううん、かなり重要な事を言いたいんだ。
私は、どうしたらいいのかな。
先生に、教えてほしい。