第19章 球技大会は女のバトル。
『二回の表!! 相変わらずこの鉄壁のバントシフト!!』
カルマ君の打順が回ってきたがなかなか打席に入らない。
どうしたのかと周りがざわつきはじめた時、カルマ君が少し大きい声で言った。
「ねーえ、これズルくない理事長センセー?」
理事長は黙ったままだ。
「これだけジャマな位置で守ってんのにさ、審判の先生何にも注意しないの。おまえらもおかしいと思わないの?」
『おまえら』はギャラリーに向けての言葉だ。
「あーそっかぁ、おまえ等バカだから守備位置とか理解してないんだね」
カルマ君の挑発にイラッとするギャラリー。
「小さい事でガタガタ言うなE組が!!」
「たかだかエキシビションで守備にクレームつけてんじゃねーよ」
「文句あるならバットで結果出してみろや!!」
缶やらゴミやらを投げられるグラウンド。
結局ダメだったけど……まあ、殺せんせーの考えならきっと大丈夫。
『二回の表E組はなす術なく3アウト!!
そして二回のウラ!! 絶好調の進藤君が打撃でも火を吹く!! E組はマズい守備で長打を許す!!
この回集中打で2点を返して3対2!! いよいよE組を追いつめたぞ!!』
「だ、だいぶ厳しくなってきたね……」
「うん、大丈夫かなあ……」
女子の皆も不安げだ。
杉野君の思いを知ってる、私達からすれば。
「京香、どう思う?」
「……大丈夫だよ」
「ほんと?」
メグの問いに私は微笑んだ。
「私達の担任……兼監督、誰だと思ってるの」
「…それもそうだね」
いつも通りイケメグはにこりと笑った。
『三回表のE組も三者凡退!! いよいよ最後の野球部の攻撃を残すのみ!!』
……大丈夫だよ。
『あーっとバント!? 今度はE組が地獄を見る番だ!!』
私達の担任の先生と、皆の努力。それに、ちょっとの工夫。
そうやって、君達はこれからも危機をすり抜けていくんだから。