第18章 もう1人の転校生、堀部イトナ
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また、私は眠っていたらしい。
「……ん…」
外が暗いのに気付いて、私は上半身を起こした。
「目を覚ましたか」
烏間先生が帰ってきてる……今何時?
「9時だ」
私の表情を読み取ったらしい。
「……もう、9時ですか…」
私は頭を押さえた。
寝すぎて、泣きすぎて、頭がガンガンする……。
「……E組の全員が見舞いに来たいと言っていたぞ」
「……見舞い、ですか…………?」
……それは…。
「……すみません、断っておいてください。あと…私、明日も休みます」
烏間先生は口元を僅かに動かしたが、
「そうか……」
と静かに言った。
「……よく休め」
烏間先生は扉を静かに閉めた。
……どうしても、今は一人で考えたい。
本当は、この世界に居ないはずの私。
物語の中心に近寄るのは、ご法度なはず、なの……。
……ああ、頭が回らない。
せめて、今日と明日ぐらいは、ゆっくり休もう。
……私の居場所が、見当たらなくなりませんように。
どうか、願いを込めて。