第18章 もう1人の転校生、堀部イトナ
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「カラスマ、京香もう1度寝たわよ」
『……そうか、何か言ってたか』
「いいえ。さっきと同じことばかり繰り返して……。今もまた、泣いてる」
『……そうか…』
カラスマの声が電話越しにくすぐったい。
……でも、今はそれよりも…。
『頼んだぞ、イリーナ』
「ええ、分かったわ」
私は電話を切った。
……京香。
たった1人で、家族も無しにこちらへ来た彼女。
…私と似ていて、非なる存在だわ。
「……っ…ふっ……」
涙が止まらないようで、ずっと枕を濡らしている。
……私に、出来ることはないのかしら。
京香のツヤツヤした黒い髪に私はそっと手を置いた。
そのまま横に撫でる。
「……ふ……」
……あら。
涙がすぅっとおさまり、スヤスヤとした寝息をしだす彼女。
……可愛いところ、あるわね。
私はそのまま頭を撫で続けた。
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