第18章 もう1人の転校生、堀部イトナ
お昼休み。
「ごはん食べましょう、京香さん」
愛美ちゃんがいつも通り可愛いお弁当箱を持っている。
「……うん」
私は机に座って笑った。
「……? どうしましたか、今日はいつもより元気がないような……」
「あ、ううん。大丈夫だよ」
ただ、どこから漫画に入って、どこが入らないか分からないから黙り気味になっちゃうだけ。
私の横の堀部くんはひたすらに甘いものを食べている。
「……すごいですね、チョコにポテトチップスに……1回は食べた事あるものばっかりです」
「駄菓子屋みたいだね」
「殺せんせーも甘いもの好きですし、不思議ではないかも……」
私は愛美ちゃんとひそひそ話し合う。
「兄弟疑惑で皆やたら私と彼を比較してます。ムズムズしますねぇ」
チョコレートを食べながら焦る殺せんせーは、ふと気付いたように足下から袋を取り出した。
「気分直しに今日買ったグラビアでも見ますか。これぞ大人のたしなみ」
中学生がいる教室でグラビア見んな!!
……と言おうとしたが。
ふと横を見ると、全く同じ雑誌を見ている堀部くん。
……なんで中学生がそんなん買ってるんだ!!
「…これは、俄然信憑性が増してきたぞ」
多分このクラスで一番エロいことに関心があるであろう岡島くんが拳を握りしめて言った。
「そ、そうかな岡島君」
「そうさ!! 巨乳好きは皆兄弟だ!!」
論点ずれた!!!
あちらでは茅野ちゃんと不破さん、原さんが兄弟だった場合なぜ殺せんせーがわからないか、過去についてを考察している。
……まあそちらもかなり論点ずれているけども……。
教室が盛り上がる一方、堀部くんは全く気にせず雑誌を読み進めている。
……一体何を考えているんだろう。
私はお弁当から卵焼き(自作)を出してパクリと食べた。