第16章 LとRの組み合わせ
「カラスマ先生~、おつかれさまでしたぁ〜ノド乾いたでしょ、ハイ冷たい飲み物!!」
ハートを振りまきながら水筒を差し出すイリーナ先生と、見るからに怪しい……という目の皆。
「ホラグッといってグッと!! 美味しいわよ〜」
……こりゃわかりやすい。絶対なんか入ってる……。
「おおかた筋弛緩剤だな。動けなくしてナイフを当てる」
烏間先生が言うと、イリーナ先生はぎくりとした様子で止まった。
……当たりなのか…。
「…言っておくが、そもそも受けとる間合いまで近寄らせないぞ」
そんな烏間先生にイリーナ先生はめげずにトライ。
「あ、ちょ待って、じゃここに置くから…」
そういってコップを地面に置こうとすると、イリーナ先生は足を滑らせ見事に転んだ。
……これも、暗殺者のテクニックか。自然に転ぶ足さばき。
「いったーい!! おぶってカラスマおんぶ〜~!!」
……しかし今の烏間先生には効かないようだ……。
やってられるか、と苦々しげに呟いて烏間先生は立ち去った。
ロヴロさんもさっきと同じ木陰から見ているが、呆れたようにそっぽを向いた。
「…………ビッチ先生…」
「さすがにそれじゃ俺等だって騙せねーよ」
そう言ってひょい、とイリーナ先生を立たせる磯貝君と三村くん。
そんな2人にイリーナ先生はキレ気味。
「仕方ないでしょ!! 顔見知りに色仕掛けとかどうやったって不自然になるわ!! キャバ嬢だって客が偶然父親だったらぎこちなくなるでしょ!? それと一緒よ!!」
知らねーよ!! の総ツッコミが聞こえる…。
イリーナ先生は焦りを隠せずにナイフを見つめた。