第16章 LとRの組み合わせ
「烏間先生、明日頑張って下さいね」
「……どうなるかは分からんがな。全く、何で俺があの2人に……」
「大丈夫ですよ、殺せんせーもなにか考えてるみたいですし」
私は(珍しく)烏間先生を慰めながら準備運動をした。
「さっき聞こうとしたんですけど、今日の訓練ってなんですか?」
「今日は……そうだな。フリーランニング……だな。東尾さん、君はかなり才能がある」
……!!?
「さ、才能……ですか。いや、あの、周りの子よりもいっぱいやってるから、だと思います……」
みんなが放課後訓練に参加するようになるのはもう少し時間がかかる。
でも、それが始まったらすぐに追い抜かれるだろう。
「君の世界ではなんだ、特別な訓練でもしてるのか?」
「いえ、全然してません。普通です」
むしろ暗殺以外こちらで変わったことといえば家くらいだ。
あとは勉強の難しさか……。
「少し難しい話をするが……男性は筋肉がつく。
女性は筋肉がつきにくいからそれを脚力やバネでカバーする訳だが、君は筋肉がかなりつきにくい代わりにバネがついてきた。それもかなりだ。だからフリーランニングはよく使える。裏山へ行くぞ」
「は、はい!!」
難しい話を聞いて私の頭はパンクしそうだった。
のでとりあえず訓練!!!
皆がもっと後にやる事を今やっておくのは良いことだ。
それに私は暗殺じゃなくて、皆を守るため……そうやって訓練をしてきてるんだから。
「あの木まで何分で行ける?」
そう言ったのはある崖の上。後々皆がやるフリーランニングで出てくる崖の上……ではないようだ。
「君はロープを使って構わない。まだ崖を下りる訓練はしてないからな。」
ロープ込みか……そしたら……。
「川を越えなきゃいけないし、草木もかなり生い茂ってるみたいですから……私なら3分位ですかね。」
「うむ、今の東尾さんならそうかもしれない。俺が何分で行けるか見ておけ」
そう言って烏間先生は私に時計を渡した。
「行くぞ」
「はい!」
そう言って烏間先生は、崖を背面跳びで降りた。