第16章 LとRの組み合わせ
「ルールは簡単。イリーナ先生とロヴロ氏のうち、烏間先生を先に殺した方が勝ち!」
殺せんせーは笑顔の後にこう続けた。
「イリーナ先生が勝ったら…彼女がここで仕事を続ける許可を下さい」
殺せんせーはさらっとそう言うが、烏間先生は不満げだ。
「おい待て!! なんで俺が犠牲者にされるんだ」
「烏間先生なら公正なターゲットになるからです」
……これを一瞬で提案する殺せんせーも殺せんせーだよ。
「私がターゲットになっては…イリーナ先生に有利なよう動くかもしれませんし」
例えばエロいことと交換とかね。殺せんせーならやりかねないね。
「第一私じゃだ~~れも殺せないじゃないですか」
横縞を浮かべて笑う殺せんせー。烏間先生は文句を言おうとしたが実際殺せないのは確かなので言葉を詰まらせた。
「使用するのは人間には無害な対先生ナイフ。期間は明日1日! どちらか先にこのナイフを烏間先生に当てて下さい。互いの暗殺を妨害するのは禁止、生徒の授業の邪魔になっても失格です」
殺せんせーに差し出されたナイフを受け取ったロヴロさんは、
「…なるほど、要するに模擬暗殺か。いいだろう、余興としては面白そうだ」
と意地悪く笑った。
烏間先生が舌打ちをして、
「勝手にしろ!!」
とこちらに向かって歩いてくる。
……あっ、私今扉の横にいるんだけど……。
ふっと横に烏間先生が出てきた。
ピシャッと扉を閉め、私に気づく。
「……いたのか」
「あ、はい……すみません」
盗み聞きしちゃったからね。
「先にあっちへ行って準備をしておく」
そう言って烏間先生はズンズンと歩き出した。
……準備なんて私のナイフと銃以外特に何も無いのに、だいぶ殺せんせーに腹たってるのかな?
「……フフ、殺せんせー。なかなか出来るなあの男」
ロヴロさんの声がまだ聞こえる。
私は耳をすませた。
「それはもう。この私の監視役に選ばれる位ですから」
殺せんせーは自慢げに笑う。
「あいつに刃を当てる事などおまえには無理だ、イリーナ。おまえに暗殺の全てを教えたのはこの俺だ。
おまえに可能な事不可能な事、俺が全て知っている」
イリーナ先生は反抗できず、ただ黙っている。