第15章 梅雨の話
私達はとある民家についた。
「……すげーな。あれ渚と茅野かよ」
先に来ていた杉野君は2人の変身ぶりに驚いている。
……まあ、確かに。
私もちらっと向かい側のカフェに視線を向ける。
そこには前原くんをバカにした2人と、明らかにおばあちゃんおじいちゃんにしか見えない渚君と茅野ちゃんがくつろいでいる様子が見える。
「パーティー用の変装マスクあるだろ。俺がちょいといじりゃあの通り」
「うーん、菅谷呼んで正解だった」
菅谷君は偽装、杉野君は見張りと連絡担当だ。
私はなんだ……洋服?
「殺せんせーをだますにはまだまだ未完成だけど、あいつらならあれで充分だろ。なんせあいつら…弱そうな人間には興味無いから」
……確か、C組の土屋さんとA組の瀬尾くん、だっけ。土屋さんが、前原くんの元カノで、昨日瀬尾くんと一緒に前原くんをバカにしたはずだ。
「しかしこの向かいの民家、よく俺達上げてくれたな」
「ああ、家主を矢田と倉橋が押さえてる。
ビッチ先生直伝の接待テク。かじっただけにしちゃ大したモンだ」
杉野君が目をやる先にはおじさんをひたすら褒める矢田さんと倉橋さん。
……E組きっての愛想よし。
こりゃ家主さんも断れないわ。
「ヌルフフフ、首尾は上々のようですねぇ」
明らかに悪そうな顔の殺せんせー。
「では、作戦を開始しましょうか」
家主さんから見えない所で銃とナイフを構える皆は、だいぶかっこよかった。