第15章 梅雨の話
街へ適当な洋服を買い、帰ってくる。
「あ、菅谷君。マスク出来た? …ってすご……」
菅谷君は既にマスクを完成させていて、渚君と茅野ちゃんに被せていた。
「はい、洋服。殺せんせーのお金あんま使わない様にした」
出来るだけ安く、でもまあまあおしゃれに。
「おう、ありがとな」
菅谷君は紙袋を受け取ると、渚君と茅野ちゃんに渡した。
この短時間でまあまあ2人を乗り気にさせたようだ。
「これ着てきてくれ」
「杉野は?」
「倉橋と矢田と一緒に先に現場に向かってる」
着々と準備が進み、私は教室に突っ立っていた。
……やっぱりすごいよ、E組は。
私なんか入っても入らなくても、すごい。
「……東尾、行くぞ」
「え、私も?」
もう洋服買ってきたから終わったと思ったんだけど……。
「奥田も茅野も行くのに、お前が行かない訳ないだろ」
……私も、ちゃんとクラスメイトなんだ……。
当たり前だけど、じんわりくる。
「……うん、いくよ!」
私は思いっきり笑った。