第15章 梅雨の話
夕陽が差した教室に、ウィーンという機械音が響く。
「……データが約10050通りほどあります。情報を絞り込みますか?」
「あ、うん! えーと……お母さんは、私より少し目が大きくて茶髪のロング。パーマがかかってる。お父さんは鼻筋がしっかりしてる……かな。目は大きくない」
「……データを150件まで絞り込みました」
「あ、じゃあ……全部見てみるね」
私は律のモニターに浮かび上がる顔をじっと見つめた。
1ページ、2ページ、3ページとめくり……。
正味70人ほど見た頃。
「……あ……」
「該当者は見つかりましたか?」
「……うん。今、見てるページ……」
そこには確かに、お父さんとお母さんの顔があった。
「……お父さん、お母さん…………」
モニターにそっと手をやる。
「……自然に笑わせて写真風にする事も出来ますがどうしますか?」
「え……」
それはいいよ、と言おうとしたが。
……やっぱり、寂しくなるかなあ……。
「……うん、お願い……。印刷も」
私は掠れた声で呟いた。