第15章 梅雨の話
「髪が」
「キノコだよ!!」
殺せんせーが髪だと言い張ったものは明らかにキノコだ。
「湿気にも恩恵があるもんですねぇ。暗くならずに明るくじめじめ過ごしましょう」
殺せんせーはそう言ってもぐもぐとキノコを食べた。
……暗くならずに、かあ。
親の顔でも見れれば暗くはならないと思うんだけど……。
ぼんやり校庭に視線をやると、律と目が合った。
「……あ」
「どうしましたか? 東尾さん」
律が笑顔で言ってくる。
「……ううん、律。放課後ちょっといいかな。調べてほしい事があるの」
「……? 了解しました」
律は不思議そうにしながらも頷いた。
……調べごとじゃないけど、少し、頼みたい事があるんだ。
私はそう心の中で言葉を続けた。