第15章 梅雨の話
学校にて。
(……大きい…)
実際には初めて見る。私は一時間目の化学を受けながら殺せんせーを眺めた。
「殺せんせー、33%ほど巨大化した頭部についてご説明を」
律が通る声で言うと、殺せんせーは重そうな頭を動かした。
「ああ、水分を吸ってふやけました。湿度が高いので」
「生米みてーだな!!」
殺せんせーの弱点⑫、しける。
……弱点なのか……? まあこの後の水が苦手発言にも繋がるし……。
「雨粒は全部避けて登校したんですが、湿気ばかりはどうにもなりません」
触手でギュゥッと頭の水をしぼる殺せんせー。
……しぼれるんだ……。
「……ま、E組のボロ校舎じゃ仕方ねーな」
「エアコンでベスト湿度の本校舎が羨ましーわ」
「まあまあ皆……」
文句を言っても始まらない。
ふと、倉橋さんが何かに気付いたように殺せんせーに言葉をかけた。
「先生、帽子どうしたの? ちょっと浮いてるよ」
よくよく見ると確かに少し浮いている。
「よくぞ聞いてくれました。先生ついに生えて来たんです」
いつもあまり外さない殺せんせーが帽子を外すと……。