第15章 梅雨の話
……もう、6月かぁ…。
私は烏間先生に買って貰った傘を差しながら私は空を見上げた。
「先生、あと9ヶ月ですね」
「…ああ、そうだな」
何か糸口は掴めそうなのか、と私に聞いてくる烏間先生。
「……私より、渚君に聞いた方がいいと思いますよ」
そう言って私は微笑んだ。
じゃあ、と烏間先生は続けて、
「何かいるものはないか」
と気遣ってきた。
「大丈夫です、不便じゃないし……むしろすごい暮らしやすいです」
「そうか、ならいい」
烏間先生は私の家の扉の前まできた後、軽く話をして去っていった。
……あと、9ヶ月。
きっと殺せなくても……地球は消えない、と思う。
……なんかこっちにきて、はぐらかす事が増えたなあ。
いや、自分の考えを心に秘めることが増えた……ってほうが正しいかな。
勿論それは皆の混乱を防ぐためだから、仕方ないんだけど……。
「……モヤモヤする…」
今日の天気みたいに、黒くてどんよりした気分だった。