第14章 自律思考固定砲台の転校生
「あとさ、このコの呼び方決めない?『自律思考固定砲台』っていくらなんでも」
……うん、後からつけられた名前を呼ばないように苦労してた……。『砲台』『自律思考固定砲台』。無意識で呼んでたらまずいもんね。
「だよね」
「……そうさなぁ。何か1文字とって…」
みんなもイケメグの意見に賛成らしい。
「自…律…」
「そうだ」
不破さんが笑顔で提案した名前の案。
「じゃあ律で!!」
「安直〜」
「おまえはそれでいい?」
律は一瞬驚いた後、元気に笑った。今までで、一番嬉しそうな笑顔だ。
「…嬉しいです!! では、『律』とお呼び下さい!!」
すぐに液晶に『律』という時を浮かばせる律。
「…………ていけそうだね」
後ろから渚君の声が聞こえたので、ふと振り返った。
「んー、どーだろ。寺坂の言う通り、殺せんせーのプログラム通り動いてるだけでしょ」
……甘いな、カルマ君。
私は渚君とカルマ君の方を見て微笑んだ。
律は……殺せんせーの手入れを受けた律は、強い。
いや……殺せんせーが強い、ってことなのかな?
殺せんせーはいまだ教卓の上でしくしく泣いている。
……強くは見えない……けど……。
「機械自体に意志があるわけじゃない。あいつがこの先どうするかは…あいつを作った開発者が決める事だよ」
……間違った意見ではないんだけど、少なくとも今回は違ったんだな。
…もし、私が。
『IF』の世界なんてないけど……いや、あるかもしれないけど……もし、私が。
『暗殺教室』っていう話を、マンガを、アニメを知らなかったら。
私はどうしてたんだろうな…。
嬉しそうに笑う律を見て、そう思った。