第14章 自律思考固定砲台の転校生
昼休み。
砲台の周りには人が絶えない。
「へぇーっ、こんなのまで体の中で作れるんだ!」
そう驚いて言う岡野さんの視線の先には……なんだっけ……ミロのヴィーナスかな?……がある。
「はい、特殊なプラスチックを体内で自在に成形できます。データがあれば、銃以外も何にでも!」
砲台の言葉に矢田さんや倉橋さんがはしゃぐ。
「おもしろーい!じゃあさえーと…花とか作ってみて」
「わかりました、花のデータを学習しておきます。……王手です千葉君」
「…3局目でもう勝てなくなった、なんつー学習力だ」
左手で女子との会話をはずませ、右では将棋。
「思いのほか大人気じゃん」
「1人で自在に変形できるし」
皆が楽しそうに会話する中、焦り顔のタコが1人。
「…しまった」
「? 何が?」
渚君が質問すると、殺せんせーは汗をダラダラ流しながら言った。
「先生とキャラがかぶる」
「かぶってないよ1ミリも!!」
生徒の総ツッコミにも動じず殺せんせーは皆の元へ駆け寄った。
「皆さん皆さん、先生だって人の顔ぐらい表示できますよ、皮膚の色を変えればこの通り」
「キモイわ!!」
そこに表示されたのはこう……なんていうかこう……キモイ顔。
「先生、キモいよ」
私も笑顔で言った。
「2回も言わなくていいです!!」
殺せんせーはしくしくと教卓の上に乗った。