第14章 自律思考固定砲台の転校生
「ああもちろん、先生は彼女に様々な改良を施しましたが、彼女の殺意には一切手をつけていません」
彼女が右手を軽く振り上げると、内蔵の銃がジャキッと持ち上がった。
隣の原さんがビクッとする。
「先生を殺したいなら、彼女はきっと心強い仲間になるはずですよ」
殺せんせーはそう言って不敵に笑った。
2限、理科。
「では菅谷君、教科書を伏せて。網膜の細胞は細長い方の桿体細胞と、あとひとつ太い方は?」
……こんなん理科で習った覚えない……さすが進学校。
「え、オレ? やばっ、えーっと…」
今までウトウトしていた菅谷君は焦り気味に答えを探し始めた。
すると、私の横の方でウィーンという音がかすかに聞こえる。
それと一緒にチカチカと光が光った。
私もちらりと横を見ると、菅谷君に向けて液晶が向いている。
「えーと…錐体細胞」
「こら自律思考固定砲台さん!! ズル教えるんじゃありません!!」
殺せんせーはしっかり答えを教える様子を見ていたらしい。
「でも先生、皆さんにどんどんサービスをするようにとプログラムを」
「カンニングはサービスじゃない!!」
その日の授業は一昨日とは違って少し騒がしく、でも和やかに会話が進んでいった。