第14章 自律思考固定砲台の転校生
「庭の草木も緑が深くなっていますね、春も終わり近付く初夏の香りがします!」
皆が揃って、ようやく全員が状況把握。
あざとくタッチパネル機能付き、ムード音楽再生機能搭載、自分の意思で体を動かせて、表情も人間のごとく柔らかく動く、れっきとした生徒への変貌。
「たった一晩でえらくキュートになっちゃって…」
「これ一応…固定砲台…だよな?」
……状況把握と、理解は違う。
私は皆の様子を笑って見つめた。
「何ダマされてんだよおまえら、全部あのタコが作ったプログラムだろ」
……それは少し違うと思う。
寺坂の言葉に心で反応。
「愛想良くても機械は機械。どーせまた空気読まずに射撃すんだろポンコツ」
そんな寺坂の言葉に悲しそうに振り向く(機械を動かす)砲台。
「……おっしゃる気持ちわかります、寺坂さん。昨日までの私はそうでした。ポンコツ…そう言われても返す言葉がありません」
肩を震わせ、涙を流す砲台(?)。
イケメグと原さんが寺坂に非難の言葉を向ける。
「あーあ、泣かせた」
「寺坂君が二次元の女の子泣かせちゃった」
「なんか誤解される言い方やめろ!!」
ぐすっ…ぐすん…という泣き声が教室に響く。
「いいじゃないか二次元…Dを一つ失う所から女は始まる」
「竹林それでいいのか!!?」
……あれ。
なんか、少しの違和感。
ここのセリフ、こんなんだったっけ……?
「でも皆さんご安心を」
涙をぬぐって砲台は切り出した。
「殺せんせーに諭されて…私は協調の大切さを学習しました。私の事を好きになって頂けるよう努力し、皆さんの合意を得られるようになるまで…私単独の暗殺は控える事にいたしました」
私の違和感をさておいて、こっちの世界は進む。
「そういうわけで仲良くしてあげて下さい」
殺せんせーはいつもの笑顔で言った(自分の財布の残高が5円なことを忘れて)。