第14章 自律思考固定砲台の転校生
「さっそくだが、メールを送ろう」
烏間先生は慣れた手つきでスマホを操作した。
「……転校生、ですか」
ピピッという単調な音の後、メールを開くと、そこには転校生についての事項が淡々と述べられていた。
『明日から転校生がひとり加わる。多少外見で驚くだろうが、あまり騒がず接して欲しい』
「…先生も、大変ですね」
私は笑い含みで呟いた。
「!?」
烏間先生は目を見開いた。
「なぜ……」
と言いかけた烏間先生は、視線を落とした。
「……そうか、君は知ってるんだったな」
「……はい」
でも、その転校生、悪い子じゃないから。
「…君は、まだ帰りたいか」
「え……」
「もし君が帰ってしまうなら、惜しい人材だと思ってな」
烏間先生……
「でも、決めたんでしょ?」
イリーナ先生は目元を細めて微笑んだ。
「……はい」
この世界は…とても魅力的だ。
できれば最後まで見届けたい。
皆の未来も、殺せんせーの最期も。
でも……
「帰ろうと、思います」
やっぱり、私はここにいちゃいけない。
帰らなければ、ならない。
それに……帰りたい。
「……そうか」
烏間先生は私の目をみて笑った。
「パラレルワールドについて詳しい研究者とついに話すことが出来た。今は忙しいそうだが、時期が合えば旧校舎に直接行くと」
「ほんと…ですか?」
「ああ、こちらに来る時も俺の客だと言えば多分大丈夫だろう」
「ありがとうございますっ!!」
希望が、また差した気がした。
そして、次の日……