第13章 修学旅行の時間!
教員部屋前。
私は銃を構えて部屋の隙間を覗いていた。
殺せんせーと烏間先生か話している。
……うん、今がチャンス。
当たらないとは思うけど、今の私の実力、試してみたい……!!
「……達に恋話を吐かされそうになりまして」
銃弾を込め、ピントを合わせる。
「……恋話?」
「私だって過去の恋話などゴロゴロありますしねぇ。この手足で数え切れないぐらいのね」
……!!
……だめだ、今その会話をされたら……
「その話は、おまえの手足が2本ずつだった時の話か?」
私の手がブルブル震えだした。
わかってる、殺せない……なんて。
でも、今は『殺せない』じゃない……
一人の人として、殺したく、ない……!
私はピントが合わない銃を下ろした。
……聞くんじゃなかった。
マンガでも、アニメでも何度も見たシーンを、実際に見ると、聞くと、こんなに胸が痛いなんて。
こんなに、辛いなんて。
「…いや、やめておく。どうせ話す気は無いだろうしな」
「……賢明です、烏間先生」
殺せんせーはいつもの顔で笑っていたけど、私は笑えなかった。
「いくら旅先でも手足の本数まで聞くのは野暮ですから」
二人の会話はそこで終了した。
……聞くんじゃなかった。
私は皆よりも早く自覚してしまった。
殺せんせーは皆と同じように、考えて、息を吸って、生きてきた事。
……自覚してしまった。
この人は、超生物なんかじゃなく、ただの人間だということを。