第13章 修学旅行の時間!
しばらくして。
私達は荒々しく車から降ろされた。
廃墟のバー…というところだろうか。
「ここなら騒いでも誰も来ねえな」
神崎さんは困ったように、茅野ちゃんは睨みながら黙る。
「遊ぶんならギャラリーが多い方が良いだろ。今ツレに召集かけてるからよ。ちゃーんと記念撮影の準備もな。
楽しもうぜ、台無しをよ」
言うだけ言って去る高校生。
……なんだっけ、名前。
私は軽く顔を顰めた。
「京香、大丈夫?」
「…私は全然大丈夫。そっちは」
どうにも手が動かないので目視するしかない。
「私達も大丈夫」
2人は小さく頷いた。
「…神崎さん、そういえばちょっと意外。さっきの写真、真面目な神崎さんもああいう時期あったんだね」
茅野ちゃんの言葉に神崎さんは少し微笑んだ。
その微笑みは、少し……ほんとに少しだけ痛ましかった。
「………うん。
うちは父親が厳しくてね。良い学歴、良い職業。良い肩書ばかり求めてくるの。
そんな肩書生活から離れたくて、名門の制服も脱ぎたくて、知ってる人がいない場所で格好も変えて遊んだの。……バカだよね。遊んだ結果得た肩書は『エンドのE組』。もう自分の居場所がわからないよ」
……神崎さん…。
そんな神崎さんに声をかける不届き者約1名。
「俺等とナカマになりゃいーんだよ。俺等もよ、肩書とか死ね! って主義でさ」
いつのまに話を聞いていたのか、こちらに戻ってくる高校生。
「エリートぶってる奴等を台無しにしてよ…なんてーか、自然体に戻してやる? みたいな。
良いスーツ着てるサラリーマンには…女使って痴漢の罪を着せてやったし。
勝ち組みてーな強そうな女には…こんな風にさらってよ、心と体に二度と消えない傷を刻んだり」
……寒気と、吐き気がする。
私は嫌悪感いっぱいの目で高校生達を睨んだ。