第13章 修学旅行の時間!
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「……な、まずはカラオケ行こーぜカラオケ」
「なんで京都まできてカラオケなのよ!! 旅行の時間台無しじゃん!!」
茅野ちゃんの声が…聞こえる。
「ん、……」
「京香!!」
「東尾さん!」
「お、そいつも目が覚めたか」
目を覚ますと車の中。
……こっちだったか!!
「…わかってねーな、その台無し感が良いんじゃんか」
助手席の男がふりかえる。
「そっちの彼女ならわかるだろ」
……神崎さんにかけられた言葉。
「どっかで見たことあったのよ。目ぼしい女は報告するよういつもツレに言っててよ」
何やらガラケーをいじり、それをこちらに見せてくる。
液晶に浮かぶのは……髪の色も、洋服も全然違う神崎さんだ。
「去年の夏ごろの東京のゲーセン。これおまえだろ?」
神崎さんの眉間に皺が寄る。
「さらおうと計画してたら逃がしちまった。ずいぶん入り浸ってたんだってなぁ。まさかあの椚ヶ丘の生徒とはね〜」
意地悪く笑う顔に嫌悪感を覚える。
「でも俺にはわかるぜ。毛並みの良い奴等ほどよ、どこかで台無しになりたがってんだ。
恥ずかしがる事ァねーよ。楽しいぜ台無しは。堕ち方なら俺等全部知ってる。
これから夜まで、台無しの先生が何から何まで教えてやるよ」
……トリハダだわ。願い下げしたい。
私は結ばれた手の下の縄をいじった。
……ほどけないな。
静かにため息をついた。