第13章 修学旅行の時間!
その後。
私達は静かな道を歩いていた。
私が覚えている限りだとこれから…事件に巻き込まれる、はずだ。
自然と体が強ばる。
「へー、祇園って奥に入るとこんなにひとけ無いんだ」
「うん、一見さんお断りの店ばかりだから、目的もなくフラッと来る人もいないし、見通しが良い必要もない」
神崎さんは女神のごとく微笑んだ。
「だから私の希望コースにしてみたの。暗殺にピッタリなんじゃないかって」
「さすが神崎さん下調べカンペキ!」
「じゃ、ここで決行に決めよっか」
みんながわいわい言っていると、後ろから何かが来る気配。
私は勢いよく振りかえった。
「ホントうってつけだ。なんでこんな拉致りやすい場所歩くかねぇ」
「!! …え?」
「…!?」
私は、制服の裾を握りしめた。
「……何、お兄さん等? 観光が目的っぽくないんだけど」
「男に用はねー。女置いておうち帰んな」
そう言った坊主の男のあごを容赦なく押さえ、歯をおるカルマ君。
「ひえっ……」
と私が驚く間に目の淵に指をかけ、思いっきり電柱に頭をぶつけさせる。
「……!!」
「ホラね、渚君。目撃者いないとこならケンカしても問題ないっしょ」
驚く渚君とカルマ君の後ろから迫る影。
「なっ」
渚君、と声をかけようとしたが、それよりも先に後ろの男がパイプを振る。
「そーだねぇ」
カルマ君の頭にクリーンヒット。カルマ君は抵抗無く倒れた。
早すぎて悲鳴も出ない。
「ホント隠れやすいなココ。おい、女さらえ」
手馴れたように茅野ちゃんの口を手で押さえる。
「ちょ、何…ムググ」
「茅野ちゃん!!!」
私は1番高校生から遠い真ん中にいた。
……どっちだ。
攫われるのか、はたまた殴られるのか……
「オイ何すんだ…」
渚君と杉野くんが走り出すが、腹にキックを喰らい杉野くんがあっさりと倒れる。
「……っ!」
こんなに早いなんて予想外……だけど。