第13章 修学旅行の時間!
1晩休んで。
私達は旅館を出た。
今日は班行動。
殺せんせーを殺す旅行がいよいよ本格的に始まる。
「でもさぁ、京都に来た時ぐらい、暗殺の事忘れたかったよなー」
杉野くんが手を後ろに回して言った。
「いい景色じゃん。暗殺なんて縁の無い場所でさぁ」
「そうでもないよ、杉野」
渚君が鋭い目で杉野をみた。
「ちょっと寄りたいコースあったんだ。すぐそこのコンビニだよ」
渚君の先導で歩いていくと、そこには確かにコンビニ。
……ここ、私の前の修学旅行でも来たなあ。
『坂本龍馬中岡慎太郎遭難之地』。
「坂本龍馬…ってあの?」
愛美ちゃんが驚いて言うと、カルマ君が何かに気付いたように笑った。
「あ〜、1867年龍馬暗殺。『近江屋』の跡地ね」
渚君は軽く頷くと説明を再開した。
「さらに歩いてすぐの距離に本能寺もあるよ。当時と場所は少しズレてるけど」
「…そっか、1582年の織田信長も暗殺の一種かぁ」
「このわずか1kmぐらいの範囲の中でも、ものすごいビッグネームが暗殺されてる。知名度が低い暗殺も含めればまさに数知れず。
ずっと日本の中心だったこの街は…暗殺の聖地でもあるんだ」
これが……殺せんせーが狙ってた、『暗殺によって生徒が京都の事をたくさん調べる』、かぁ……。
確かに暗殺繋がりで、皆たくさんのことを調べた。
「なるほどな〜言われてみれば、こりゃ立派な暗殺旅行だ」
杉野くんがナイフをバッグから覗かせて笑った。
「次八坂神社ねー」
茅野ちゃんが嬉しそうに言うと、カルマ君が少しかったるそうに
「えー、もーいいから休もうぜ。京都の甘ったるいコーヒー飲みたいよ」
といった。
それを後ろから見ている渚君は、少し困ったように笑っている。
……殺せんせー、地球を壊す私達のターゲットについて考えているのだろう。
私は渚君の方をチラリと見た。
「……渚君、早くいこー! 時間なくなるよ!」
「あっ、うん!!」
私達は前にいる杉野くん達に向けて走った。