第13章 修学旅行の時間!
旅館に着くと、殺せんせーは辛そうに座り込んだ。
「…1日目ですでに瀕死なんだけど」
「新幹線とバスで酔ってグロッキーとは…」
殺せんせーの弱点⑧、乗り物で酔う。
たくさんの荷物の中からメモ帳を取り出しメモする渚君。
「大丈夫? 寝室で休んだら?」
口調は優しいが容赦なくナイフを振る岡野さん。
そしてそれをひらりと避ける殺せんせー。
「いえ…ご心配無く。
先生これから1度東京に戻りますし。枕を忘れてしまいまして」
殺せんせーの弱点⑨、枕が変わると眠れない。
渚君が少し首をかしげて半笑いしながらメモ帳に記す。
普通の人の10倍以上のリュック持ってきて持ち物忘れる殺せんせーも殺せんせーだけど……。
「どう神崎さん? 日程表見つかった?」
「…ううん」
神崎さんが困ったように呟いた。
「神崎さんは真面目ですからねぇ。独自に日程をまとめてたとは感心です。
でもご安心を。先生手作りのしおりをもてば全て安心」
「それ持って歩きたくないからまとめてんだよ!!」
よれよれと殺せんせーが持っている分厚いしおりにツッコミが激しく入る。
「確かにバッグに入れてたのに…どこかで落としたのかなぁ」
私はぎゅっと唇を噛み締めた。
……私だけが分かる未来。
それを言うのは容易いだろう。
……でも……。
私は拳を軽く握り直した。
…烏間先生との、約束。
私はこの世界にいる限り……
絶対に、言ってはいけないんだ。
この先の、神崎さんと、私達4班が巻き込まれる事件を。