第13章 修学旅行の時間!
気付くと旅館の前の駅に来ていた。
「……ん、ぁ……?」
「ふふ、京香間抜けな顔してるよ」
「……もう…着く?」
私は目を擦りながら言った。
「うん、着くよ。早く起きな」
「…ん、ありがと…」
「こっからバスだってさ」
「でもすぐ着くからレクとか出来ないねぇ」
皆がキャッキャと話す声がまだふわふわと聞こえる。
「……修学旅行、かぁ…始まった瞬間終わるよねぇ」
「なに、京香まだ寝ぼけてるー?」
「うん……」
私はもぞもぞと制服を着直した。
「修学旅行は、友達と喋って、昼間も夜もめっちゃ遊んで……それで、恋バナとか、いろ、いろ…して」
ああもう私、何話してるんだろう。
そう思いながら眠気に任せて私はぶつぶつ言葉を呟く。
「……なのに、なんで失敗、するんだろ、ね……」
「京香どうしたの、眠い?」
「…修学旅行は、失敗したの…。……ううん、成功したんだけど……私にとっては失敗で……」
「京香!!」
茅野ちゃんのハッキリした声にようやく意識がハッとする。
「え、なになになに? お、おはよ!」
「もぉ〜ずーっと寝言いってたよ」
「あ、ごめん! 荷物まとめよっか」
「終わってるよもう」
「あ、ありがとー」
いつもとは少し違う光景が目に飛び込んでくる。
……私、なんか変なこと言ってないよね…?
いや、言っててもいいんだけど。
……大事なところだけ、言わなければ、聞こえてなければ…いいや。
新幹線が京都で私達が泊まる旅館から1番近い駅を知らせる。
私は苦笑いでホームに出た。