第13章 修学旅行の時間!
「すげーな菅谷!!」
「うん、焼け石に水ぐらいには自然になった!!」
どんな例えだ速水さん……
殺せんせーは嬉しそうに鏡を見つめている。
「あはっ、面白いね渚。旅行になると皆のちょっと意外な面が見れるね」
「うん」
2人は花札を持ちながら微笑んでいる。
「これからの旅の出来事次第で…もっと皆の色んな顔が見れるかも」
渚君の言葉は……正解だ。
…っていうか……そういえば、私は渚君の班だ。
神崎さんの事件に巻き込まれるなら……茅野ちゃんと渚君と、どちらと行動するんだろうか。
あの事件に、巻き込まれる側なのか、助けに行く側なのか……
考えるだけで少し怖い。
「あれ、東尾さんどうしたの?」
当の神崎さんがこちらを見つめて言う。
「……あっ…ご、ごめん。なんて?」
「いや、大丈夫よ。車酔いしちゃったのかな。皆の飲み物買ってくるけど、東尾さん座ってていいよ」
「あ、ごめん……」
茅野ちゃんと愛美ちゃんが新幹線の中を歩いてゆく。
私はフー、とため息をついて腰深く座り直した。
「大丈夫?」
「いや、大丈夫……」
渚君の言葉に私はヒラヒラと手を振る。
……考えすぎで気持ち悪くなるとかアホか!!
それに……本来なら、私はいないんだから、ここで周りを巻き込む怪我をしてはいけない。
やり返しも出来ない……。
……どうしろと言うんだ…。
私はもう1度深くため息をついて目を閉じた。