第13章 修学旅行の時間!
私は後を追う。
新幹線の中で、大きいバッグを悲しそうに漁るイリーナ先生に、私は声をかけた。
「イリーナ先生」
「なによ京香」
「きっと寝巻しかないでしょ、上着貸してあげる」
「や、優しいわね……何か裏があるの?」
「いやいや別に何も無いって」
ただ、アニメとマンガで見た時にすごい悲しそうだなって思ったから、こっちの世界で後悔しないように声をかけただけだよ。
「うん……ありがと」
イリーナ先生は少し嬉しそうに笑って受け取った。
寝巻と上着を着て帰ってくるイリーナ先生。
「誰が引率だかわかりゃしない」
「金持ちばっか殺してきたから庶民感覚ズレてんだろな」
皆から同情の声。
「…あれ? 電車出発したけど、そーいや殺せんせーは?」
……あ。
イリーナ先生の事気遣うのは忘れなかったけど、殺せんせーのこと忘れてた。
「うわっ!!」
渚君の席を覗くと、殺せんせーが(外側の)窓にべったりついている。
「何で窓に張りついてんだよ殺せんせー!!」
渚君の焦った様子に困り顔の殺せんせー。
『いやぁ…駅中スウィーツを買ってたら乗り遅れまして、次の駅までこの状態で一緒に行きます』
何買ったんだろ、後で見てみよう……。
『ご心配なく。保護色にしてますから。服と荷物が張りついてるように見えるだけです』
「それはそれで不自然だよ!!」
私達は殺せんせーにツッコミをしばらく続ける事となったのであった。