第13章 修学旅行の時間!
修学旅行…当日!
東京駅。
新幹線が静かに止まる。
「うわ…A組からD組まではグリーン車だぜ」
「うちらだけ普通車。いつもの感じね」
皆も流石に辟易とした様子で零す。
そんなみんなに向かってにやりと笑いながら説明する人。
「うちの学校はそういう校則だからな。入学時に説明したろう」
えーと……そうそう大野先生。
「学費の用途は成績優先者に優先される」
「おやおや君達からは貧乏の香りがしてくるねえ」
こっちは渚君に絡んでくるモブ以上レギュラー以下の男子2人組。
うーん、確かにいつも通りだ。
こんな旅行の日にまで。嫌だなあ。
と思っていると、人混みの中からセレブか何かが現れた。
「ごめんあそばせ」
ヒールを高らかに鳴らし……ってイリーナ先生!
「ごきげんよう生徒達」
……うーん、まあ似合ってるんだけども。モブ達も呆然。というか鼻血出してる。
「ビッチ先生。何だよそのハリウッドセレブみたいなカッコはよ」
「フッフッフッ、女を駆使する暗殺者としては当然の心得よ」
サングラスを少しずらし、澄んだ瞳を覗かせてイリーナ先生は笑った。
「狙っているターゲットにバカンスに誘われるって結構あるの。ダサいカッコで幻滅させたらせっかくのチャンスを逃しかねない。いい女は旅ファッションにこそ気を遣うのよ」
そのセリフだけ聞くと素晴らしいんだけど、とてつもなくこの場にあってない。
「目立ちすぎだ。着替えろ。どう見ても引率の先生のカッコじゃない」
烏間先生がビキビキと怒った様子で言う。
「堅い事言ってんじゃないわよカラスマ!! ガキ共に大人の旅の…」
「脱げ。着替えろ」
ど怒りの烏間先生に流石に言葉が詰まったのか、イリーナ先生はしくしくと新幹線に入っていった。