第12章 初めてのテストは竜巻と共に
校庭につくと、殺せんせーはゴールをどけだした。
「何するつもりだよ殺せんせー」
「ゴールとかどけたりして」
それには答えずに、殺せんせーはイリーナ先生に質問した。
「イリーナ先生。プロの殺し屋として伺いますが」
「……何よいきなり」
「あなたはいつも仕事をする時…用意するプランは1つですか?」
「…? …いいえ。本命のプランなんて思った通り行く事の方が少ないわ。不測の事態に備えて…予備のプランをより綿密に作っておくことが暗殺の基本よ」
そういうイリーナ先生は…確かに殺し屋のオーラを放っていた。
「ま、あんたの場合規格外すぎて予備プランが全部狂ったけど。見てらっしゃい次こそ必ず」
「無理ですねぇ。では次に烏間先生」
イリーナ先生を途中から見事にスルーして殺せんせーは烏間先生に話を振る。
「ナイフ術を生徒に教える時…重要なのは第一撃だけですか?」
烏間先生もプロらしく答える。
「…………第一撃はもちろん最重要だが、次の動きも大切だ。強敵相手では第一撃は高確率でかわされる。その後の第二撃、第三撃を…いかに高精度で繰り出すかが勝敗を分ける」
「結局何が言いたいん…」
前原くんが痺れを切らしたように言った言葉は、殺せんせーに遮られた。
「先生方のおっしゃるように、自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる。
対して君達はどうでしょう。
『俺等には暗殺があるからそれでいいや。』…と考えて、勉強の目標を低くしている。それは…劣等感の原因から目を背けているだけです」
殺せんせーがくるくると回る。
そのスピードはどんどん速くなっていた。周りの空気を纏い、風がこちらにやってくる。
「……やばいな、これ」
「え?」
かなりの風圧の中、私は呟いた。