第11章 集会。
『…はいっ、今皆さんに配ったプリントが生徒会行事の詳細です』
……あ。
「え?」
「え…何? 俺等の分は?」
生徒会行事のプリントがE組には配られず、代表して磯貝君が声を上げた。
「……すいません。E組の分まだなんですが」
小さく手を挙げて言うも、放送の人はにやけ顔だ。
「え? 無い? おかしーな…」
……この確信犯。
『ごめんなさーい、3‐Eの分忘れたみたい。すいませんけど全部記憶して帰って下さーい』
どっと起こる笑い声。
『ホラ、E組の人は記憶力も鍛えた方が良いと思うし』
アナウンスの声は皆の声にかき消される。
「……何、腹立つな」
私はかなり大声で言ってしまった。
「ちょ、京香声大きいって!」
茅野ちゃんが慌てたように言う。
一応少しボリュームを下げた普通の声で、私は
「何言ってんの茅野ちゃん。勉強でしか人を判断出来ない奴なんて見下す価値もないわ」
と言った。
こんな差別なくても皆輝けるんだよって言いたい。先を知ってる私は、皆がどれだけ夢を追いかけているかも知っている。
でもそれを言うのは私の役割じゃないからな……
その瞬間。
ふっと横に風が吹いた。
ブワッと耳に風の音がこだまし、プリントが手元へ。
「磯貝くん。問題無いようですねぇ。手書きのコピーが全員分あるようですし」
……そう、教えて、言うのは先生だもんね。
「あ、プリントあるんで続けて下さーい」
『え? あ…うそ、なんで!? 誰だよ笑い所つぶした奴!! あ…いや、ゴホン。では続けます』
殺せんせーは、人だけど人じゃなくて、人よりも優しい。
私は……ううん、私達は、少し背筋を伸ばして堂々と立っていることが出来た。