第11章 集会。
……嘘をつくわけには行かない……嘘はそこまで上手くない。
「…市立美波桜中学校です」
「市立に通っていたのかい?」
「はい」
前の学校…私がトリップしてくる前の学校だ。
「それはそれは…暗殺のために、わざわざ?」
……違う。
トリップしてきたんです…なんて、言えない。
そのまま押し黙っていると、
「何か実績が?」
と聞かれた。
実績!!?
そんなん無いわ!!!
「……私の遠い親戚なんです。東尾さんは何でも器用にこなしますから」
烏間先生が助け舟を出してくれた……
「そ、そうなんです。烏間先生が、私を覚えてて、それで呼ばれました」
「ほう、なるほどね。勉強は?」
「それに関しては…あ、あまり出来ないので…精進します」
……なんだろう。
理事長の空気が、少し緩んだ気がする。まさか私が頭悪いって聞いてホッとしてんのか。
腹立つ!!!
「では、これから宜しく。中間テスト、頑張りなさい」
ふぅ〜……これで話は終わり、だよね。
「失礼しました」
扉をガチャンとしめ、誰もいない廊下を歩く。
数秒して。
「〜…怖!!」
私はその場に座り込んだ。
「だから言っただろう。迫力があると」
「は、はい…………烏間先生。嘘、つかせちゃってすみません」
「構わん。君が今一番頑張っているのは事実だからな」
……烏間先生……。
「ありがとうございます……集会行ってきます」
「ああ、俺も行く。体育館なら案内できるぞ」
「じゃあ……またついていきます」
私はまた烏間先生の後ろを歩いて体育館へと向かった。