第10章 巨乳は味方か敵か
私は立ち去ろうとして……後ろを振り向いた。苛立たしげにハチマキを取るビッチ先生が目に入る。
「……ビッチねえさん、大丈夫?」
ハチマキを取ったあとはマンガに入らない事を脳内で確認し、私はビッチ先生に話しかけた。
「立てる?」
私は手を差し出したが、その手は軽く振り払われた。
「……ガキに手をかける訳にはいかないのよ。こんな無様な失敗して喜んでるんでしょうあんた達! 屈辱よ!! 次のプランで絶対殺ってやるわ!!」
喜んでる、っていうか……私は振り払われた手を自分の背中にまわした。
「だって、ビッチねえさん。あなたが殺ったところで、私達に得はないんだもの」
と私は言った。
「……はぁ?」
ビッチ先生はまだ分かってないようだ。
「殺った人が百億円、でしょ? あなたが殺したところで私達には全くお金が入らない上に、受験生の私達に勉強も教えてくれない。全く得がないんです」
ビッチ先生は黙った。
「……じゃあ、頑張ってくださいね、暗殺」
きっと明日にでも烏間先生にたしなめられて、見解を改めてくれるだろう。
私は校舎に向かって歩き出した。