第8章 毒は不器用。
「奥田さん…先生あの薬、毒って言ってたんだよね」
驚く愛美ちゃん。
「だっ…だましたんですか、殺せんせー!?」
殺せんせーは、つーんとした顔を隠しもしないまま、話し出した。
「奥田さん。暗殺には人を騙す国語力も必要ですよ」
「えっ…」
「どんなに優れた毒を作れても…今回のようにバカ正直に渡したのでは、ターゲットに利用されて終わりです」
はぐれ殺せんせーは壁に這いながら質問した。
「渚君。君が先生に毒を盛るならどうしますか?」
「え? …うーん。先生の好きな甘いジュースで毒を割って…特製手作りジュースだと言って渡す……とかかな」
はぐれ殺せんせーは自分の洋服へ潜り込む。
「そう、人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある。言葉に工夫をする必要がある。上手な毒の盛り方。それに必要なのが国語力です」
愛美ちゃんは、何かに気付いたようだ。
自分が苦手な国語力の、大切さ。