第8章 毒は不器用。
「君の理科の才能は将来皆の役に立てます。それを多くの人にわかりやすく伝えるために…毒を渡す国語力も鍛えて下さい」
将来、皆の役に立てる……。効能切れでいつもの殺せんせーに戻りながら、殺せんせーは諭した。
「は……はい!!」
愛美ちゃんも応えるように返事。
「あっはは、やっぱり暗殺以前の問題だね〜」
カルマ君が納得するように笑った。
……今すぐ、役に立てなくてもいいのかな。今じゃなくて、この先も役に立てるように。
「……愛美ちゃん、なんか、ありがと」
「え?」
愛美ちゃんはこちらをくるっと振り向いた。愛美ちゃんに向けられた殺せんせーの言葉で、私も救われたみたいだ。
もうすっかり桜が散った校庭を眺めながら、私は思った。
いよいよ5月。
地球が爆破されるまで……残り、11ヶ月。