第8章 毒は不器用。
「……君が訓練を頑張るのはとても有難いが、君は自分の体を省みていない」
「…………え…?」
渚君が殺せんせーに言われた…言われるような言葉だ。
それをなんで私に烏間先生が?
「どういう意味…ですか?」
「対人用の訓練を教えて欲しいと言われたときから少し思っていた。君は自分がすぐ元の世界に帰るからと言って、多少の怪我も省みていない」
「……えっ…」
「勿論日々の訓練は大事だが、役に立ちたいと思うだけでなく、たまには休め。明日は俺が放課後いない。土日と合計で3日間、ゆっくり休んでくれ」
私が……自分の体を考えて……ない?
確かに役に立ちたい、少しでも陰から皆の支えになりたいとは思っていた。
「それと……もう一つ、気になることがある」
「え」
まだあるの!?
「君は……帰りたいと強く願っているが、どこか、帰りたくないとも思ってないか? これを言葉に表すのは難しいが……」
「……」
烏間先生の困ったような目に見つめられ、私は何も答えられなかった。