第8章 毒は不器用。
バサッと羽毛の音が聞こえる。
……と、羽が生えた。ツノもあるからかなり豪華だ。
「酢酸カリウムの味ですね。では最後の1本」
周りのみんなも固唾を飲んで見守る。
音も立てずスッと真顔になった殺せんせー。
予測が出来るはずなのに出来ない……
「王水ですねぇ。どれも先生の表情を変える程度です」
「……はい…」
とりあえず全部飲み終わったが、皆からのツッコミが一斉に入る。
「てか先生真顔薄っ!!」
「顔文字みてーだな!!」
うん…っていうか私の世界ではもろ顔文字になってたよ、殺せんせー。
「先生の事は嫌いでも、暗殺の事は嫌いにならないでください」
「いきなりどうした!?」
……こっちの世界でも某有名な秋葉原アイドルはいるのだろうか…。私は苦笑いを浮かべた。
「それとね、奥田さん。生徒1人で毒を作るのは安全管理上見過ごせませんよ」
その言葉を聞いて愛美ちゃんは少し落ち込んだように、
「…はい、すみませんでした…」
と三角フラスコを受け取った。
そんな愛美ちゃんをみて、殺せんせーは笑顔を浮かべながら、
「このあと時間あるのなら、一緒に先生を殺す毒薬を研究しましょう」
と言った。愛美ちゃんは嬉しそうに
「…は、はいっ!!」
と返事。
茅野ちゃんと渚君が2人で
「……ターゲットと一緒に作る毒薬ねぇ」
「……後で成果を聞いてみよう」
と苦笑する。
……私は烏間先生との訓練に行こっと。
早々に荷物をまとめて校庭へ飛び出した。