第7章 赤髪の彼の手入れは長い。
5時間目、国語。
私はマンガの渚君の思考を思い出しながら考えた。
殺せんせーはよくドジをする。昨日だって人並みのドジしてたし、こないだだってチューリップ抜いて怒られてた。
それだけなら殺れそう……だけど。
「────私がそんな事を考えている間にも────」
カルマ君の動きが止まった。
手にはナイフ。おでこには触手。
「────赤蛙はまた失敗して戻って来た。私はそろそろ退屈し始めていた」
島木健作の『赤蛙』に乗せて殺せんせーがカルマ君を手入れする。
「私は道路からいくつかの石を持ってきて────」
……いくら殺せんせーがドジ踏んでも、カルマ君が天才でも…殺せんせーが手入れをしようと、積極的に思ってる間は────これは無理だ!
授業が終わった。
……私が見れるのはここまで、かな。この後は渚君とカルマ君と殺せんせーとの会話…だったはず。
放課後は烏間先生の訓練だし……。
「あ、東尾さん」
そんな事を考えていそいそとリュックに荷物を詰めていると、渚君に声をかけられた。
「ん? 渚君どうしたの?」
「あの…ちょっとついてきてくれないかな」
……ん?!
「ちょっとカルマ君の雰囲気が危ない気がする。東尾さん、さっきカルマ君の事黙らせてたでしょ。あんなカルマ君あんま見ないし……」
…………!?
これは……渚君特有の、波長を読み取る…でいいのかな。でもそれって私ついてっていいの!?
マンガだとふたりきりで話す場面……
「……ついてって、いいの?」
「……うん」
渚君は大きな目でこちらを見つめてきた……。
……可愛いキャラに逆らおうとした私が悪かったです、ごめんなさい。
「分かったけど…後ろの方からついてくね」
「うん、ありがとう」
烏間先生に一言断って、私は渚君の後をついていった。