第4章 Be with you
翔くんが予約した店に着くと従業員が個室に案内してくれた。
「こちらの部屋になります」
「ありがとうございます」
翔くんと部屋に入ろうとしたら後から声を掛けられた。
「翔くん?」
ふたりで振り返ると増田が立っていた。
「あ~、やっぱり翔くんだ!」
小走りで近づいて来た。
「おー!お前も来てたんだ?」
「はい!前に翔くんに連れてきて貰った時、飯旨かったんで、たまに使わせて貰ってます!」
にっこにこの笑顔で話す増田。
前々から翔くんストーカー説が出るくらい遭遇することが多いらしい。
「そうなんだ、気に入って貰えて良かったよ」
翔くんも笑顔で話してる。
なんだ?ちょっとモヤモヤする。
「翔くんが連れて行ってくれた店にハズレないですから
また違う店連れてってくださいよ~」
「いいよ、連絡頂戴」
「ありがと~ございま~っす!」
翔くんが後輩たちと飲みに行ってるのは聞いていた。
俺と行くのは仕事が一緒の日くらい…
翔くんが他の日は何をやってるかなんて知らないのは当たり前なんだけど…
なんだか面白くない…
そんな表情が出てしまっていたのか増田が慌てたように
「あっ、すみません!俺お邪魔でしたね?
それじゃ、お疲れさまでした!」
「お疲れ~」
増田が立ち去るのを見て部屋に入った。